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角田光代の『ロック母』(短編集)面白いです。
正確には、この中に集録されていた
『ゆうべの神様』初出「群像」1992年11月号 が面白かった。
口汚く罵り合い、物を投げつけ、挙句の果てに手を挙げあう父親と母親の元で育った娘の話。
娘を気遣うように見えてその実、その家族の話を面白可笑しく噂話のネタにしている、地域(たぶん下町)のえげつない下世話さとか、
もう、なんちゅうか、うわー、このしょーもない下品さ~、私は大好きです。
この娘、ひねくれてます。
ああ、私みたいだわ。
父親が一方的に悪いDV男じゃなく、
母親のそれに輪にかけたクソババアぶりが良くて(言われたら言い返す、殴られたら殴り返す、とにかくやられたらやり返す!素晴らしい!)、
ほんと、夫婦は鏡とはよく言ったもんだ、という妙な安心感を逆に得てしまった。
(こういう憎しみを鎹にしてくっついている謎?の夫婦は確かに存在する)
だってさ、横暴な夫の暴力にめそめそしていないんだもん、この母ちゃん。
ひどい母親になると、子どもに甘えてくるからねえ。(子どもが母親のカウンセラー。最悪)
この短編のラストは、ネタバレになるから書かないけれど、おお、やっちまったか、みたいな感じで。
ちなみに、
両親の不仲とか家庭環境の悪さでグレちゃうお子様達は、根が素直。
素直だから、純粋に反応してわかりやすい『不良』になる。
そうして、その不良達は、
「若い頃は結構やんちゃしちゃってさ。」
とか言いながら、金髪ねえちゃんの嫁とその子どものために働く、エルグランドを乗り回すいいオヤジになっていたりする。
健全だ。
実に健全。
わかりやすい。
『月曜から夜ふかし』に出てくるどうしようもない東京の下町が好きだ。
蒲田
赤羽
新小岩
区で言うと、足立区とか。
蒲田なんて、田園調布がある大田区にある。(同じ区なのにあの落差。痺れる)
私の父は、母親に捨てられ、妻に逃げられ、娘に嫌われ、散々な一生だったなあ、と思う。
生前、父は、たまーに行方をくらます時があった。
で、いつも、上野から浅草あたりにいた。
有名(?)な墨東病院から連絡があった時は、「酔っ払って誰ぞに殴られたか」と思って行ってみたら、正解だった。
殴ったほうではなく、殴られたほう。
どうして、上野から浅草にいるのかというと、
若い頃、田畑仕事ができない冬場、東北から東京に出稼ぎに来ていて、その時の土地勘で上野に出てきたみたいだった。(あまり詳しいことは知らず)上野は北の出稼ぎ労働者達の東京の玄関口だから。
日雇い仕事をあっせんしてもらうのだ。
最後の失踪で、本当にどこかに行ってしまいました。
(私が、『月曜から夜ふかし』を見てしまうのは、あの番組に出てくるどうしようもない街で、ホームレスにでもなっているのではないか、と番組の中で、探しているのかもしれない。もしくは、あの番組に出てくる、番組スタッフに媚うっている酒やけした顔の歯がボロボロになっているジイサン達に、父親を見ているのかもしれない)
是枝監督の『万引き家族』が観たい。
最後の失踪になった時、実家に戻ることとなり、途中仙台で新幹線を降り、レイトショーで
是枝監督の
を観て、声を殺して泣いた。
(暗い映画館の中、そこらじゅうでしていたすすり泣きを聞いた。)
私はお酒が弱いので、ストロングゼロは少量飲んで、結局こっち。
この私がお酒に強かったら、絶対、アル中、アルコール依存症になっていた。
父はニコチン中毒だったけれど、
アル中ではなかったな。
それだけでも、良かったかもな。
なんか、こんな記事になってしまった。
お風呂はいろーっと。